Get Back~Day:108 Hollywood~

カテゴリー:27 : ハリウッド

明日、11:35発の飛行機で、いよいよ日本に戻る。

 

長いんだか、短いんだか、分からなくなってしまったけど、いよいよ終わりだな。

なんとか、ハリウッドでもプレゼントリレーを繋げて、無事に日本に戻るのだから、もう少し何か感慨深いものがあっても良い気がするのだけど、ちっともすっきりしない。

ロサンジェルスに着いた翌日から、ずっと降っている雨と同じだ。

しかも、今日はまた一段と、激しく振っている。

 

今日も、大きめのパンケーキを焼いて、独りモゴモゴと食べる。

こういう安宿にも、バックパッカーでは無い宿泊客が、結構いる。

 やや年配の、ちょっとパリっとしたシャツを着た紳士の隣のテーブルでは、韓国人っぽい女の子が、お母さんらしき人にちょっと不機嫌な英語をぶつけている。

とても狭いカウンターでは、スツールに腰掛けた中国人のお爺さんが、パンケーキには目もくれず、自分で買ってきた卵とベーコンをピチャピチャと食べてる。

NYで長い事、友人宅に泊めてもらっていたせいか、いつの間にか、あまり他の宿泊客と積極的に話さなくなってしまった。

ちょっと、面倒くさいというか、なんというか。

何をするにも、どうにもモヤモヤしてしまって、気が乗らない。

 

でも旅の最後の一日を、ダラダラ過ごすのも、さすがに勿体無いので、ずっと持ち歩いていた折り畳み傘を持って、外に出る。

 

小さい折りたたみ傘では、あまり役に立たないくらい激しい雨が降っている。

何も最終日に、こんなに降らなくても。

どこに行こうか迷ったあげく、あまり観光気分でもないけど、とりあえず地下鉄に乗ってダウンタウンの方へ向ってみることにする。

 

そういや、昨日Michelleが言ってた、お気に入りの場所、「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」にでも行ってみようかな。

 

地下鉄をシビックセンター駅で降り、地上に出てみると、さっきより雨足が強まっていた。

ここまで、ずっと頑張って来てくれた、Reebokの「レインウォーカー」も、さすがにもうお疲れのようで、靴下までグッチョリになっている。

肩をすくめながら、なんとかたどり着いた、ウォルト・ディズニー・コンサートホール。

 

 

さすが12月も下旬という事もあり、入り口にはクリスマスコンサートのポスターが、沢山貼られている。

すると、お父さんの手を引っ張るようにして、小さな女の子がチケットを片手に、出てきた。

チケットを買う段階で、もうすでに、目一杯楽しそうだ。

当日はおめかしして、家族みんなで来るのかな。

もう、お気に入りのナンバーとかあるのかな。

こんなに楽しみにしてくれてたら、演奏する人も嬉しいだろうな。

 

ディズニーコンサートホールの向いには、「Music Center」なる立派な建物もあった。

どうやら、色々と演目が上演されているみたいだけど、やっぱり観る気は起こらない。

なんだかなぁ。

 

と、雨はバケツの水をひっくり返したような、豪雨になってきた。

Michelleは昨日「この時期のロスは、雪の代わりに雨が降るの」なんて言ってたけど、こりゃちょっとスゴすぎる。

このまま、いつものようにたくさん歩いて、ダウンタウンの「リトルトーキョー」なる所まで行ってみたかったのだけど、さすがにこれじゃちょっと無理だ。

明日、東京に帰るのに、リトルトーキョーでもないか。

かと言って、他に行く所も思いつかないので、食事がてら、いったん宿に戻る事にする。

いったい何をしに、こんな雨の中、ここまで来たのやら。

 

残る食事も今夜だけなので、いらない物をキッチンのフリーフードスペースに、置く。

 

ミラノで買った醤油。

ウィーンで買ったお茶の葉。

ジュネーブで買ったインスタント味噌汁。

ちゃんと誰か貰ってくれるかな。

 

びしょ濡れのズボンを乾かしている間、ブログを書いていると、すっかり日が暮れてしまった。

少し雨も小降りになって来たようなので、もう一度出かけるか。

 

もう、遠出をする気にはならないので、これまたMichelleお勧め、近所の「Arc Light Cinemas」に行ってみる事にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これまたとっても豪華な内装で、ちょっとした空港みたいな映画館だ。

 

映画関連の書籍が大量においてある本屋や、映画の衣装等、展示品も沢山ある。

さすがはハリウッドの映画館、と言うところか。

一通り見て、少し興奮したけど、それでも映画を観て行こうかな、という気分にはならない。

 

かと言って、宿に帰る気もしないので、適当に辺りを、適当な歌を歌いながら、あても無く歩く。

 

とてつもなく大きなCD屋や、映画学校らしき建物やら、色々とあるけど、なんだか醒めた気分のままだ。

 

きっと僕は、旅の終わりらしい、何か「衝撃的な出来事」を、探してるんだろうな。

でも、映画や小説じゃないんだから、そう都合良く「何か」は起こらない。

それが嫌なら、帰る期限を設けず、納得行くまで旅を続ければいいんだ。

それが出来ないわけじゃないけど・・・

 

ふと、さっきからずっと、無意識に同じ歌を歌っている事に気がついた。

その曲は、Beatlesの「GetBack」だった。

おいおい、ホントかよ、って自分でも思ったけど、本当に無意識に、ずっと歌っていた。

これって何年前の曲だ?

そんなにビートルズファンでも、ないんだけどな。

 

例によってうろ覚えなので、頭の中で、ポールがサビばかりを繰り返している。

「Get Back! Get Back!  Get Back to where you once belonged.」

「お前の 元いた所に 帰れよ」だって。

 

これは映画じゃないんだから、旅の最後の夜なんて、こんなものなのかも知れないな。

宿に戻ろうとした時、ふと思いついて、近所の雑貨店ををいくつかまわる。

数件目で、やっとお目当ての物が買えた。

この旅でお世話になった人たちに、クリスマスカードを書こう。

なんとなく、旅の終わりの夜にふさわしいかな、と。

 

宿に戻り、狭いベッドの上で、慣れない英文メッセージを書く。

 

香港中を、案内してくれたアショク。

 

インド、コルカタのロイ。

 

ボーフムで、急にお邪魔してしまった、みのり。

 

ベルヘン・オプ・ズームの、ルーベンとそのご家族。

 

NYの猫さんとカエルさん。

 

慣れない国際便を、間違いの無いように、一通ずつ書いていく。

「GetBack」を歌いながら書いてると、本当に色々な事が、思い出されて来る。

 

香港なんて、遠い昔の事のようだな。

 

インドでは、本当にどうなる事かと思ったよ。

 

トルコ料理、美味しかったな。

 

イタリアも良かった。

 

みのりはもうすぐ、ウィキッドの稽古だろうか。

 

今度ルーベンの家に行く時は、沢山お土産を持っていかないとな。

 

そういや、パリで髪切ったっけ。

 

まったく、スイスの物価の高さと来たら。

 

スペイン、絶対にまた行こう。

 

NYも、絶対だな。

 

 

書き終えたら、ふと、今日の昼間、ディズニー・コンサートホールで会った女の子の姿を、思い出した。

 

とってもとっても楽しそうに、チケットを手にしていた女の子。

 

何だか、鼻の奥の方が、シュンとする。

 

僕の旅の「終わりの出来事」は、あれだったのかも知れないな。

 

 

僕は、パソコンを立ち上げて、Michelleに、昨日のお礼のメールを書いて、最後にこう付け加えた。

 

「I had a lot of twists and turns, but I could finally find my way.」

「僕は、ずいぶんと回り道をしたけど、やっと自分の覚悟を決めたよ。」

 

さぁ、元いたところへ、戻ろう。



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