はじめに

2010.08.25はじめに~執行猶予4ヶ月~
カテゴリー:はじめに

何年かあとに、2009年という年を思い返したとき、皆さんは何を思い出すでしょう。

やはりマイケルジ・ジャクソンの亡くなった年でしょうか?

松井秀喜選手がワールドシリーズでMVPを取った年、という方もいるかも知れませんね。

僕は、やはり、「役者を辞めた年」、というふうに、思い出すのだろうな、と思います。

役者には「俳優免許」なんてなければ、「役者規定」なんてのもありません。

なので、20歳のとある日に、「よし、僕は役者をやろう」と思ってから、「僕は役者です」と言い張り続けてきた、この12年間、僕は確かに役者だったのでしょう。

 

ですが、「プロの役者」だったのは、劇団四季にいた、ほんの7年の間だけです。

どうしても「プロの」、という事にこだわりたかった僕は、ストレートプレイから、ミュージカルの舞台に移り、次々に出される課題にヒーヒー言いながら、なんとか毎日をこなしてました。

唄も踊りも素人同然の、この僕が、劇団四季でミュージカルをやろうというのですから、それは大変でした。

次から次へと目の前に現れる課題に、「とりあえず、これだけは乗り越えよう」と、必死に喰らいついてきた7年間だったように思います。

 

そんな7年が終わった後、僕に訪れたのは、待ちに待った開放感でも無く、途方にくれるような無力感でもありませんでした。

 

特に何もなかったんです。

独り、部屋でぼけーっとしながら、今までの過去を振り返り、また自分の未来を想像してみました。

その間にある、この「7年間の終わり」、というモノが、意味のあるような、また全く意味のないようなモノに思えました。

 

そんなワケで、僕は旅に出る事にしました。

なんのこっちゃ、という感じですが、旅に出る以外の選択肢が思いつかなかったのです。

今後、どんな事をするにしても、数ヶ月という、まとまった時間が取れる事は、そうないでしょう。

体力的にも精神的にも、旅に出る絶好のチャンスに思えたのです。

 

そして、世界中を時間をかけて旅をして、その旅の終わりに、「もう駄目だ、どーしても、僕は役者がやりたい」、と思ったら、もし思えたら、そこで腹を決めて、頑張って役者をやろうかな、なんて思ったのです。

「世界一周に行く」、と言うと、皆、「自分探しの旅?」なんて聞いてきますが、とんでもない。

自分なんて探さないです。

ヘミングウェイだったか、誰だったかが言ってました。

「どんなに遠くへ旅をしても、自分からは逃げられない」、のです。

 

なので、あえて言うなら、これは「執行猶予」の旅なんです。

旅に出る前に、沢木耕太郎さんの、「深夜特急」を数年ぶりに読み返しました。

すると、その中で沢木さんが旅に出た理由として「プロのライターとして、職業を決定するのが嫌だった。もう少し、何者でもいたくなかった。」と書いてあったのを見て、ビックリしました。

数年前に読んだ時は、あまり印象に残らなかった文章だったのでしょう、まったく覚えてませんでしたが、まさに今の僕と同じだったのです。

 

僕の「執行猶予」は、4ヶ月です。

この4ヶ月の間、僕は何者でもないまま、世界をふらふらしてこようと思います。

ですが、根が貧乏性な僕です。せっかく世界を周るのであれば、何かしらの意味が無いと勿体無いような気がして、出発前に大急ぎでこんなページを作って見ました。

 

この企画によって、どこかの誰かが、少しでも楽しんだり、喜んだりして頂けたら嬉しいです。

 

 

とりあえず、僕は、遠くに行こうと思います。

 

知らないところへ、知らない人に会いに。

 

背中におくりものをのせて。