7 : デリー

2010.09.19インド最後の都市~Day:18 Delhi~
カテゴリー:7 : デリー

いよいよ、インド最後の都市デリーに。

デリーは、さすがに都会だ。

ここでなら、たいていのものはあるようで、不便はしなさそう。でも、インドの喧騒、乱雑さは、しっかりとある。

この街から、だんだんインドに慣れていこうというのは、ちょうど良いかもしれない。

インド初心者は、デリーから入れ、コルカタから入るな、というのはなかり納得。

この街にも、いくつか、観光客向けのものあるみたいだが、イスラム建築は、カレーと同じく、かなり食傷気味だ。

 

 

 安宿の並ぶ、メインバザール

 

 どこも工事してる 

 

 何で?

 

 

 

さて、ここでなら、ひょっとしたらアーティストに、会えるかも知れない。

はっきり言って、ここまでの土地では、アーティストに出会うのは、ほぼ無理だと思われた。

観光客に寄って来るのは、リキシャー、ホテル、お店の客引きばかり。

寺院や、ガンジス河に、祈りを捧げている人達の姿は、とても心を打つものがあり、十分勉強になったが、アーティストという方達には、全くお目にかからない。

泊まっているゲストハウスには、欧米からたくさんの若者の旅行者がいたので、かたっぱしから声をかければ、何人かのアーティストには出会えるだろうが、「たまたま旅行中のアーティスト」であって「現地で頑張っているアーティスト」ではないので、ちょっと違う気がする。

「アート勉強の旅」なら、また別だけど。

 

一度、彫刻刀一本で、実に見事な仏像を彫っている若者に出会ったが、全く英語が話せなかった。

そればかりか、裸足でサンダルすら履いてないので、彼から何か貰う事なんて、出来そうも無かった。

彼に「アーティスト」なんて言葉を持ち出したら、鼻で笑われてしまいそうだった。

「生きる為にやってるんだ。アートなんかじゃない」って。

 

コンノートプレイスという、街一番の繁華街を歩き周り、Wi-Fiの電波を探し、なんとかネットに繋ぐ。

ネットで調べると、現代アーティストの集まるお店、というものがあったが、ここから車で1時間以上かかる。ちょっときつい。

そして、贅沢を言えば、インドならでは、という事をやっている人が、嬉しい。

都会に来たとたん、欲が出る。

 

インド門の近くに、インドの伝統的舞踊をやっている場所があるというので、タクシー代をケチって歩いて向う。

思ったより、ずっと遠かった。ちょっと後悔。

 

 

 

 戦死者の慰霊碑です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いざ着いてみたものの、ただ門がどーんと建っているだけで、劇場らしきものはどこにもない。

周りの人に聞いても、そんなの知らない、と言う。

困った。とても困った。バラナシのゲストハウスに置いてあったガイドブックで見たんだけどな・・・そのページを写真に撮ったので見てみる。

ほら、ちゃんとデリー門の近く、って書いてあるじゃないか・・・・「デリー門」・・・「インド門」?

ふたつあるのか・・・紛らわしい。日本タワーと、東京タワーをすぐ近くに作るんじゃない。

一度、中心地に戻り、また同じくらいの距離を歩かなくてはいけない。もう夕方近い、公演は何時までやっているんだろうか?

と、ふとインド門近くの露店で、ヘナアートをやっている人を見つけた。ヘナアートとは、特殊な染料で腕に模様を書く、簡易刺青のようなもの。

インド各地でも、多くの女性がやっていた。

・・・これを一生懸命勉強している若手はいないのかな?


と、さっそく、ヘナアーティストが集まるという寺院を調べ、そこに行って見る事にする。

地元の人も多く、多くの露店で賑わっている。ヘナアートの露店も5、6はあるようだ。

だが、若手アーティストという感じの人はいない。皆、中年くらいで「ヘイ、ジャパン!マイ、フレンド!!カムカム」ばっかりだ。

たぶん、英語は通じないし、通じたとしても、この企画を理解してくれるとは、とても思えない。

ちょっと見ていても、皆、技術はとても素晴らしいと思うのだが、アートというよりは、商売第一主義っぽい。

ま、食べれなければ、やって行けないので、当たり前なんだけど。

そう思うと、また「何がアーティストだ、こん畜生」と言われているような気がしてくる。

やはり、ちょっと無理なのか・・・

それでも、歩き続ければ、何かに出会うだろうと、完全に日が暮れるまで歩き回って、街のアチコチを見てみた。

 

都会といえども、いや、都会だからか、貧富の差はとても激しいように思う。

人が増えれば、その分、物乞いも増える。

「アートでござい」なんてのは、ちょっと想像がつかない。「芸術」じゃ腹はふくれない。

 

 

と、さすがに歩きつかれ、宿に戻ろうとすると、宿のすぐ近くの路上で、ヘナアートを発見。例の感じのインド人ばかりだが、その後ろで、ボードにデザインを練習している、若い女性を発見。

声をかけると、なんと東洋人だ!

うるさく話しかけるインド人をよそに、彼女に色々話を聞く。

彼女は、韓国から、ヘナアートを勉強する為に、インドに来ているという。すでに滞在3ヶ月。

一日探して、歩き回ったのに、まさか宿の目の前にいるとは・・・

彼女と話している間、ずーっと話しかけてきてたインド人に「OK、これやるよ。ただし彼女にやって貰う」とお願いする。

「自分はまだ練習中だから、無理だ」と、しきりに拒む彼女に、無理やりお願いする。

彼女の初めてのお客さんになるのなら、光栄この上ない。

そして、やって貰っている最中に、プレゼントリレーの説明をする。興奮している僕は、ただでさえヒドイ英語が、さらに滅茶苦茶になる。

でも、時間をかけて説明したら、理解してくれた。

 

そして、快くOKしてくれた。

だが、今は、本当に何も持っていないので、明日、また来てくれという。 もちろん喜んで。

 

まだ、確定ではないけど、3人目は彼女に決まりそうだ。 本当に良かった。

この間、インド人はずーっと「左手もやるか」「他の指もやるか」「ディティールを細かくするか」と延々話しかけて来て、うるさくてたまらない。

しかも、値段の事は一切言わない。全然、良心的じゃない。

案の定、終わったら、最初の提示額の倍の料金を要求された。途中で、勝手に隣のインド人が書き出した部分に対する、料金だと言う。

これさえなければ、インドをもっと好きになるんだけどな。

あんまりゴネると、せっかくやって貰った彼女に申し訳ないので、払う事にする。

それでも1000ルピーの請求を700まで値切る。

僕だって、2週間インドにいるんだ。そんなに簡単じゃない。

 

何にしても、見つけられて、本当に良かった。

急に、気が楽になる。

さて、カレーでも食べるか。

 

 終わったら すっかり 夜に


2010.09.21雨のデリー~Day:19 Delhi~
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午前8時。外が静かだ。

もう充分明るいのに、いつもの洪水のようなクラクションが、大人しい。

外に出てみると、しっかりとした雨が降っていた。

 

 雨の空を見て、この時すでに、嫌な予感がした。

ベッドの上で、前日のブログを書き、グランドフロアに降りて、ネットに繋ぎアップする。

午前11時半。ホテル屋上のレストランに、昼食を取りに行く。

まだ、本格的な雨が、続いている。僕の嫌な予感も、続いている。

そして、そういう嫌な予感は、的中してしまう。特に、外国を独りで旅しているような時には。

 

チェックアウトを済ませ、荷物をラゲッジルームに預けて、昨日の彼女と会った路上のお店に行く。

おくりものを渡し、次の人へのおくりものを貰う。明日、午後1時にここで。

昨日、はっきり約束したが、本当に来てくれるのかどうか、という不安がどうしても消えないので、傘を取り、予定より30分も早く、その場所へ向ってしまう。

お店の前の道を通っただけで「ヘイ、ジャパニーズフレンド!ハロー!!」の連呼が聞こえる。

彼女は、まだ来てない。

雨でも、店は普通に営業するようだ。

店と言っても、路上に椅子を置いて、その上にビニールシートの屋根があるだけのものだ。

近くにいるだけで「ヘイ、フレンド。シットヒア!」とうるさくて堪らない。 無視しながらも、店の側の分かりやすい位置に傘を差して、立つ。

大丈夫。そう簡単に約束を破るような人には、見えなかった。きっと来る。

おくりものの交換をしたら、昨日行けなかったデリー門に行って、インド伝統舞踊を観よう。その後は、バラナシのドライバー、ラジーさんが絶賛していた映画でも観に行こう。明日の午前4:45発イスタンブール行きの便だから、夜になったら空港に行って、本でも読んでよう。また空港で長い事過ごす事になるな。 

大丈夫。

1時になった。彼女はまだ来ない。昨日は、日焼け止めを塗り忘れた襟口を、真っ赤に焼いてくれた太陽が、ちっとも顔を見せない。

半袖ではカナリ寒い。

相変わらず、お店の方に目線をやる度に「ヘイ、カモンカモン」だ。

彼らの相場は、昨日見たお寺の露店の10倍から20倍近い。使っている染料が上質、という事があったとしても、高すぎる。

彼女は、どうやって彼らと知り合ったんだろう?こんな事言っちゃなんだけど、もう少しマシな師匠はいなかったのかな?って思ってしまう。

1時半になっても、彼女は来ない。雨で、遅くなったにしろ、そろそろ来ても良い頃だろう。

正直、30分を過ぎても来ない場合は、もう駄目な気がしたが、それは一生懸命考えないようにする。

 

 2時。依然として雨は降り続け、僕は立ち続ける。やっぱり、金額でモメたのがいけなかったかな、その場で、無理やりにでも、身の回りの物を貰えば良かったかな、なんて考える。

ここで、彼女の名前すら聞いてない事に気づく。相変わらず、馬鹿だな、僕は。

 

 3時。もう、いい加減、彼女が来ない事を確信している。 だけど、どうにも立ち去る事が出来ない。悔しいというか、なんというか。

またもや、僕は何やってるんだろうな、と思う。普通に、世界旅行を楽しんで、各地の観光名所を回り、美味しいものを食べて帰れば良いじゃないか。誰に頼まれたワケでもなく、勝手にやって勝手に苦労してる。その結果、雨のデリーのメインバザールで、3時間も立ち続けるハメになる。

まったく もう。

 

3時半。さすがに、これ以上は風邪をひく。まさか、9月のインドで凍えるとは思わなかった。

最後に、昨日料金でもめた男の所に行き、彼女の携帯電話の番号を知らないか、と聞く。

「知らない、たぶん彼女は持ってないと思う」  そうか。

 「何か渡す物があるんだろう?代わりに渡しておいてやろうか?」と言うので、 No Thank You とだけ答える。

意味が無いんだ、それじゃ。 意味がないんだよ。

 

 近くのカフェに入り、少しぬるいコーヒーを飲みながら、いろいろと考える。

その時の僕は、半笑いのような苦笑いをしてたと思う。  変な顔。

 

4時半過ぎ、カフェを出て、もう一度お店を覗いてみる。彼女はいない。

両手をお尻のポケットにつっ込んだまま、すっかり雨の上がった道を、コーンノートプレイスまで歩く。

伝統舞踊や映画も観る気には、もう、ちょっとなれない。

手持ちのインドルピーは、ちょうど空港までのタクシー代ほど。 それ以外には、ポケットに10数枚のコイン。

僕はコーンノートプレイスを歩き回り、そこにいた、物乞いの人達に、コインを渡して歩いた。

あげる気の無い時には、あんなに寄って来たのに、いざあげようと思うと、誰も来ない。そんなもんか。

1時間以上かけて、全てのコインを渡し終わると、何かが一区切りついた気がした。

インドに挨拶がすんだような。

 

やっぱりインドは思ったとおり、僕にとっての通過儀礼だった。来なきゃいけない所だったかも知れない。

色々な事を体験して、色々な事を学んだ。


それと同時に、インドでは色々失くした。  キャップ、サングラス、白いシャツ。

どれも、とても安物で、良い物では無かったけど、無くなると、とても困る。 価値の大小に関係なく。

ここで、体験したいくつかのこと。それらを消化して、血となり肉とするのには、少し時間がかかるかな。

僕は要領が悪いからなぁ。

すっかり日が暮れた空から、また雨が降ってきた。


さあ、イスタンブールに向おう。