18 : アントワープ

2010.11.16てっぺんにかかる霧~Day:60 Antwerp~
カテゴリー:18 : アントワープ

オランダのベルヘンオプズームから、直接パリに行っても良かったのだけど、かなりの距離があるので、ベルギーのアントワープに寄ってみた。

 以前、「大航海時代の船乗りになって、世界中を旅をする」というゲームにハマった事があったので、ヨーロッパ周辺の港の名前を聞くと、すぐにその海図が頭に浮かんでしまう。 アントワープは貿易の拠点となった港だ。

 ローゼンダルの駅は工事中で、エッセンという街までは、バスに乗らなくてはならず、そこから先の電車も、なかなか来なかった。

結局、30数キロの移動に、5時間以上もかかってしまった。いきなりパリを目指さなくて良かった。

  

 

 

 

 

 

 

アントワープ中央駅から、予約したホテルまでは、路面電車を使って移動するのだが、これの案内板がちっとも分からない。

良く見ると、停車駅全部が書かれておらず、途中の大きな停留所のみ表示されており、その間は不表示になっている。

初めて乗る人には全く役に立たないし、何度も乗っている人には、案内板は不必要だと思うんだけどな。

 仕方なく、辺りの人に聞くのだけど「こっちじゃないと思うけど」「分からないな。運転手一人一人に聞けば良いよ」という答ばかりだった。

ベルギーはオランダ語のはずなんだけど、どうも聞いているとオランダで聞いたそれとは違う気がする。もちろん、オランダ語で道を尋ねるほど喋れるわけでもなく、英語を話す人は、そう多くなさそうだ。

 

 なんとか自力で、それらしき停留所に辿り着き、不親切な案内板を睨んでいると、白髪で背の高い男性が、英語で声をかけてくれた。

 パッと見 「昔は悪かったんだぜ」 という格好をしていて、耳とか咽喉とか、やたら痛そうな所ばっかりに刺青が入っている。

ちょっとこちらからは声をかけづらい雰囲気の方だったが、この方が非常に親切な方で、行き方から切符の買い方まで、とても丁寧に教えてくれた。

 着いたばかりの街で、こういう方に会えると、本当に嬉しい。

 

 この方は、とても元気で小さな男の子を連れていて、お孫さんかな、と思ったら、息子さんだと言う。

 「この子の名前はイサク。名前を決める時に、千冊も本を読んで考えたけど、結局ボブ・ディランの唄から取ったんだ」

 きっと、お年を召してからのお子さんなので、授かった時の喜びも、ひとしおだったんだろうな。

「僕は警官になりたいんだ」と英語で言って、おもちゃの手錠を見せてくれた。

 ここでふと「子供の名前を、ボブディランの唄から取った」という話を、以前どこかで聞いたような気がしたけど、どうにも思い出せない。

 デジャヴみたいなモンかな?

 

 イサクというと、旧約聖書に出てくるアブラハムの息子の名前と同じだ。(後で調べたら「追憶のルート61」という曲があったので、それなのかも)

 アブラハムは神から 「私の為に、息子を生贄に差し出せ」 と言われ、泣く泣く実行しようとすると 「待て、貴方の気持ちは良く分かった」 と止められ、その後、親子は神からの祝福を受ける。

 そのイサクを息子の名前にするというのは、どういう想いなのだろう。

ひょっとしたら、僕の聞き間違いで、違う名前だったかもしれないけど。

 

アントワープでは、ドミトリーではなく、シングルの普通の部屋を取った。

オランダで沢山の人達と知り合って、色んな影響を一度に受けたので、少し頭を整理したかったのと、お恥ずかしながら、ずっと英語で会話をしていたので、僕の卑小な脳みそは疲れてしまったのだ。

ルーベンの英語はとっても分かりやすかったし、ルーベンも僕の適当英語に慣れたらしく、僕らのコミュニケーションはそれほど大変ではなかった。

けど、それ以外のオランダ人の方の英語は、少々聞き取りづらく、会話するのは少し大変だった。


4日間、沢山の会話を英語だけでこなしたのは、生まれて初めてだったので、さすがにちょっと疲れた。

個室で、大人しくして4日間書けなかったブログを書こう、とするのだが、これが、ちっとも文章が浮かばない。

中途半端な英語なくせに、ずっと使っていると、日本語の方まで侵食するらしい。困ったもんだ。

この日本語能力低下現象は、一夜明けても全く治らず、ちっとも文章が頭に湧かない。仕方ないので、街を歩き回ることにした。


「アントワープといえば」と言って連想するのが、「フランダースの犬」ネロとパトラッシュの物語。大体の日本人の方がそうじゃないかな?と思うのだけど、どうでしょう?


というわけで、ネロが最後に観たかった、というルーベンスの絵を観に、アントワープ大聖堂へ行く事にした。





オランダでは宿泊料は浮いたけど、アムステルダムやらロッテルダムやらを行き来したので、結構交通費がかかってしまった。

オランダの物価、特に交通費はやたらに高いのだ。

なんとか、入館料がタダだと良いな、と中に入ると、「リユニオン:メツァイスからルーベンスまで。王立美術館の傑作が聖母大聖堂に再び集う」 と大聖堂を使った展覧会をやっていた。 入館料5ユーロ(約600円)。

んー5ユーロか・・・出来ればお金は使いたくないが、払わないとルーベンスの絵まで辿り着けない。

しばらく考えたのち 「このまま帰ると『僕はネロより貧乏』という事になる」 という感じがしたので、観ることにした。 パトラッシュ抜きで。


アントワープは日本人観光客が多いのか、チケットと共に日本語の解説冊子まで頂けた。


アントワープには王立バレエ団があるのだが、公演は月に数回しか行われていない。

公演がないとなると、特に他に観たい所もないので、たっぷり時間を使って、全ての絵を鑑賞する。

全てが宗教画だったが、丁寧な解説冊子のおかげで、とても楽しめた。 5ユーロ払って良かった。


これが、ネロの観たがってたルーベンスの絵。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで夜うたた寝すると、どこかに連れて行かれそうな気がする。


感動的な「フランダースの犬」。実は有名なのは、日本でだけらしく、海外では舞台になったアントワープですら、あまり知られて無いらしい。

実際にあったお話では無いし、ヨーロッパでは「負け犬の話」という評価なんだとか。

日本で有名になったのは、あのアニメが秀作だったという事なんですかね。

 

外に出ると、大聖堂の前で大道芸人がパフォーマンスをしていた。

内容は良くある、中国コマ、ナイフとリンゴのジャグリング、大きな一輪車と、目新しい物は無かったけど、彼は、英語、フランス語、オランダ語、ドイツ語でお客さんに話しかけて(僕は1/4くらいしか分からなかったけど)かなりの笑いを取っていた。

僕なんか英語でヒーヒー言ってるのに、凄いよな。






夕方になると、突然街に霧がやってきて、大聖堂の先端から、家の屋根まで覆ってしまった。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の脳みそも、依然霧がかかっている。

日本語の部分だけでも晴れて下さい。


2010.11.16クレイジーダイヤモンド~Day:61 Antwerp→Paris~
カテゴリー:18 : アントワープ

アントワープから、いよいよフランスのパリへ向う。

 かなりの距離があるけど、鉄道の料金は、いくらほどだろうか?

とネットで調べた所、直行列車で120ユーロ(約14、000円)近くしてしまう。これなら2時間とかからず、パリに着けるが、乗り換え1回の鈍行列車でも、3時間半ほどなので、安い方にしてしまおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アントワープ中央駅の窓口に行き、いつのものように、ネットで調べた列車をお願いすると、乗り換え2回の56ユーロだ、という。乗り換え1回があるはずなんだけどな、と聞くも、これ以外は直行便の高い奴しかない、と、随分イライラしたお姉さんが言う。

 あんまりイライラお姉さんと長くお話ししたくないので、安い方をお願いして、印刷された紙を見ると、2回の乗り換えは、それぞれ1時間の間隔が開いている。

2時間乗って、1時間待って、1時間半乗って、1時間待って、1時間乗る。結局パリに着くのに6時間20分もかかる。

いくらなんでも、もうちょっと他に無いのかな、と思うんだけど、ま、急ぐわけでは無いから良いか。

 

 電車に6時間?と思う方も、多いかも知れませんが、僕は変な奴で、乗り物に長時間乗るのが全然平気なのです。

 以前、友達3人で「低予算で大阪に行こう」という事になり、僕が青春18切符を使ったルートと予算を組んだら「安い!それで行こう!」と皆、賛同。

鉄道に詳しい方にはおなじみの、0時過ぎに上野を出発して、岐阜の大垣という所で朝の5時くらいに乗り換えて、翌朝8時くらいに大阪に着くという、ルート。 1人数千円で大阪に行ける。

「鈍行列車に長い事乗るのは大丈夫?」 「安ければ全然良いよ!」 と言っていた仲間だが、いざ乗ると、満員の車内と硬い椅子に、ヘロヘロになり、大阪着く頃には、疲れきっていた。

「男の子の癖にだらしが無いなぁ」 と言ったら 「お前は鉄道が好きだから、平気なんだ」 と言われた。

 

 そんな事ないよ、と思っていたが、こうして何時間乗っても、全く平気な所を見ると、案外そうなのかも知れない。

暇を持て余さない体質なだけかもしれないけど。

 

 列車の時間まで、30分ほどあるので、駅のまわりをウロウロする。

 アントワープはダイヤの加工で有名な街で、全世界のダイヤのうち、7割がここで加工、研磨されるらしい。

 駅前の普通の通りにも、宝石屋さんが並ぶ。

 

ダイヤを買った事ないけど、やっぱり何件もお店をまわって、見比べたりするのかな?

なんかお金持ちの買い物ってそんなイメージが無いけど。

 

 と、なんと、駅の構内にまで、ダイヤ屋さんがあった! 新聞や雑誌を売っているスタンドや、コーヒーショップと並んでダイヤを売っている。

 「電車の発車まで、まだ時間があるから、ダイヤでも買って行こうかしら」という客が来るんだろうか?

 「婚約指輪を選びたいから、あの駅の構内にあるダイヤ屋さんで買おう」とか思う人がいるのかな?

この店舗の売り上げがとても気になる。まぁ大きなお世話だけど。


列車に乗っている間も、なんとかブログを書こうと、頭の奥にある言葉を捻り出す。あいかわらず、僕の脳みそにはアントワープの港のような霧がかかっているけど、こうなったらもう無理やりにでも搾り出して、リハビリしようと、車内ではずーっとパソコンのキーを叩いていた。


6時間20分かけ、19時20分に、パリNord駅に到着。






ここからは地下鉄を乗り換えて、予約したユースホステルに向う。

ユースホステルはネットで予約すると、確認メールを送ってくれ、そこに宿までの行き方が、書いてある。

空港、鉄道、地下鉄、バス等、各項目に分かれていて、空港から来る場合はこう、鉄道の場合はこう、と書かれており、丁寧な所は、どの通りのどこの角を曲がればいいかまで、書いてある。


が、今回パリのユースから来たメールには 「地下鉄、○駅から500m、×駅から800m」 としか書いてない。 じゃ、○駅から半径500mの円の中を、捜索して下さいって事? おいおい、勘弁してくれよ、と思うが、もうこんなのも慣れっこになってきた。

僕はかなりの方向音痴で(色々音痴だな)「右に曲がって入ったトイレ」から出てくる時に、また右に曲がってしまうようなタイプだ。
大きなデパートの入り組んだトイレや、ドラクエのダンジョンでは、良く迷子になる。

でも、この旅でかなり鍛えられたらしく、ほとんど道に迷わなくなった。

とりあえず、「○駅と×駅の間、やや○駅寄り」 という事みたいなので、駅の地図を見てだいたいの目星をつける。そして、住所にある△通りを見つけ、そこに向う。

△通りについたら、後はその通りを少し観察する。 だいたい、この時間なら宿から出てくる人、宿に戻る人の両方がいるので
歩いている「バックパッカーっぽい人」を見つけると・・・あった。 駅から500m、という情報だけで見つけてやった、ふふふ、僕の勝ちだ。


このユースは、案内が不親切な時点で、少しそんな予感がしたが、過去最高に設備が悪かった。

シャワーは蛇口式ではなく「ボタンをポチっと押すと一定時間お湯が出てくる」というタイプで、このタイプにありがちな「熱くなったり、冷たくなったりを繰り返す機能」付き。

そして、やっぱり、冷たい割り合いの方が多い。

なので、熱くなった瞬間を逃さず浴び、「もうそろそろ冷たくなるな」 という頃合いを見計らって、「よし、今だ!」 とシャワーから逃げる。

これをやらないと、11月のパリでは凍え死んでしまう。 ふふふ、また勝ったな。


まったく、独りで何をやっているのやら。

またもや、色々な事に適応出来るようになってきた気がする。


とりあえず、無事パリに到着。