19 : パリ
- 2010.11.17日常茶飯事~Day:62 Paris~
カテゴリー:19 : パリ さて、いよいよこの劇場にやって来た。
「パリオペラ座」。 おそらくこの「ヨーロッパ劇場巡り」のクライマックスとなるんじゃないだろうか。
オペラ座というと、主にバレエ公演が行われる「ガルニエ宮」と新しく建てられた「オペラ・バスティーユ」。
これを観ずして、劇場巡りは終われない。
だが、さすがに大人気で、バカンスシーズン中のチケットは、数ヶ月前に全て売り切れるほどらしい。 果たしてチケットが取れるのだろうか?
立ち見が無いかどうか、当日券はあるのかどうかを、例によってネットで探したのだが、結構頻繁に購入方法が変わるらしく、ハッキリした事が良く分からない。 まぁいつものように、とりあえず劇場に行ってみよう。
ガルニエ宮、やっぱり荘厳である。入り口に警備員がいて、ただ入るだけでも、セキュリティチェックがある。
1875年から、数多くの作品が上演されて来たかと思うと、少し緊張してしまう。
僕の滞在中の公演は、バスティーユで、オペラ「フィガロの結婚」、ガルニエではバレエ「パキータ」だ。
なんとか両方観たい。
と、チケットオフィスでお願いすると、パキータの方は「明日の夜、1席だけ15ユーロの席が空いている」というので、飛びつくようにお願いする。
フィガロは?と聞くと「今夜の夜、95ユーロの席が1席だけで、後は全日、全席、全て完売です」。
これは、かなり悩む。
当日券があるんだか、無いんだか分からない状況で、後1枚と言われるとは。しかし95ユーロというと約11、000円だ。 旅も後半になってきて、このお値段は、かなり厳しい。
とりあえず、パキータのチケットのみ購入して、いったんその場を離れる。
そして、うんうん悩む。かなり厳しいけど、バスティーユでオペラを観る値段としては、そんなに高く無いような気もする。何よりオペラ座でフィガロの結婚を観る機会も、そうないだろう。 こうしている間にも、窓口で誰かが買ってしまうかも知れない。・・・よし、観よう!
と決意し、先ほどのお兄さんの所に行き、「さっきの95ユーロの座席の位置を見せて貰えますか?」とお願いする。
なんてたって95ユーロだ。 ちゃんと位置も確認させてもらおう。
すると 「あ、ごめんなさい。もう1ランク上の115ユーロでした」
おいおい、お兄さん! この貧乏人に20ユーロの差は大きいよ!
115ユーロというと、約13、200円だ。2000円の差だが、随分と雰囲気が変わる。 さっきよりパンチが効いてて、ガツンと来る。
体重49キロと52キロじゃ、ぜんぜん違う。
席を確認すると、3階席の最前列だ。うーん、最前列か・・・うーん・・・下さい。 ガルニエのチケットボックスで、こんなに悩む奴もいないんだろうな。
「これ、今夜ですけど大丈夫ですか?あと、5時間後ですよ」 オペラ観に来てるんで、その他の予定無しです、大丈夫。
チケット買って「メルシ」とかすました顔で言ったけど、内心は「あぁー13、000円だってー。あー大丈夫かなー」だった。
プラハで買ったコートを抜き、この旅で最高額のお買い物となってしまった。どうか、良い舞台でありますように。
とりあえず、バスティーユ、ガルニエのチケットを、両方すんなり取れたのは、万々歳だ。 どちらも後一枚って言われるとは思わなかったけど。
さて、夜まで時間があるので、この辺をブラブラしようかな、と辺りを歩き回る。
ミラノからこっち、ほとんどの街で「SHUSHI」と書かれた日本料理屋を見てきた。 今までTVで「海外では今、寿司ブーム!」とやっていたのを何度も見て 「どうせ、そんなにブームでも無いんでしょ?」 とずっと思ってたが、本当に寿司屋はいたる所にある。
もう、ブームじゃなくて、ちゃんと定着している感じもする。
と言ってもだいたいは、サーモンとマグロの握り寿司と、巻物がメインで、店によっては韓国人や中国人が、すごく適当なのを作ってたりする。
が、パリの寿司屋はほとんどが日本人経営のようで、けっこうちゃんとしているお店が多かった。
そして、お寿司だけでなく、ラーメン屋まである。
ガルニエの近くにあったのは、これ。
オペララーメンって。
そして値段を見ると、ラーメンと半チャーハンのセットで11ユーロ(約1300円)だ。ラーメンセットで1300円!
餃子の王将行ったら、半額で食べられるんじゃないだろうか?
勿論、たった今、115ユーロも使った僕は、入らない。11ユーロ出すんだったら、レストランで食事したいな。
と中を覗くと・・・
なんとNHKのBS放送で日本シリーズをやっている。
時刻は17:30。 え?って事は日本は0:30だぞ? そんなに長い事やってるの?
と店の中を凝視すると、延長10回の裏、同点で、ノーアウトランナー2塁の場面だった。
音声は聞こえないけど、相当ピリピリした展開であるのは、一目で分かる。
あー観たい!これを観るために11ユーロ払ってラーメン食べるか? いや、11ユーロはな・・・
と、結局その回が終わるまでの20分ぐらいの間、ずーっとそこで立ち観してしまった。
周りから見ると 「通りで立ち止まり、ラーメン屋の中をずーっと凝視している奴」 にしか見えない。
試合は、10回の裏が終わっても決着がつかず、更に延長へ。
さすがに、これ以上立っていると、身なりの良い紳士がやって来て 「坊や、お腹が空いているのかい」 と肩を叩かれかねないので、泣く泣くその場を去った。(トランペット買ってくれたりして)
そうか、もう日本シリーズの時期なのか。みんな何してんのかな? と少し日本が恋しくなる。
宿に戻って着替えても、まだまだ時間がありそうだったので、宿からオペラバスティーユまで歩いて行く事にする。
僕が宿を取ったのは、地下鉄3号線の、東の端らへんなので、けっこう中心地からは離れている。
宿で日本人の方が話している会話を聞いた所、バスティーユから東側は歴史の浅い地域で、黒人の人達が多く住んでいる地区なんだとか。
「だから、治安悪いんスよ」 「えーマヂで、怖ぇ」 とか話していたけど、確かに黒人の方は多いが、全然治安が悪いという印象は受けなかった。
確かに、大声でギャーギャー騒いでいる若い集団はいて、夜遅くに出歩くのは止めようとは思ったけど、別にスラムじゃないんだから、そこまで治安が悪いような感じはしない。 ちょっと聞いてると、どうも言い方が「黒人=悪人」という感じで、それは違うんじゃないかな、と思った。
大学の心理学の授業で、こんな話を聞いた。
被験者に、それぞれ無関係な数十枚の写真を見せて、全てを見終った後、いくつかの質問をする、という実験を行った。
いくつかの質問をした後「一枚、白人男性と黒人男性が並んで映っている写真がありましたが、ナイフを持っているのはどちらでしたか?」と聞く。
実は、ナイフを持っていたのは白人で、黒人は手に何も持っていないのだが、被験者の70%以上が「ナイフを持っていたのは黒人」と答える。
人の先入観とは、かくも影響力が大きい、という実験だった。
もちろん、日本に比べたら海外は危険だけど「海外=危険」では無いし「黒人=凶暴」では全然ない。
こうやって文字にすると 「何を当たり前の事を書いてるんだ、僕は」 と思っちゃうけど。
かと言って、注意を怠って良いという話じゃない。 それとこれとは全く別の話。
ま、いいや。 とにかく夕方の道を、バスティーユまで歩く。
そんな事を考えながら歩いていると、突然、女性の悲鳴を聞いた。
「えぇ?ウソ!やっぱり危ないの?」と、かなりギョッとして、その方を見ると、若い女性が、若い男性をバシバシ殴っている。なんだ?痴漢か、強盗か?
と思いきや、周りの地元の人達は、たいして興味も無さそうに横を通りすぎている。
なんと、これだけ大声で叫んで、あれだバシバシ殴っているのに、ただの痴話喧嘩だった。
日本だったら、周りの人が駆け寄って「大丈夫ですか?警察呼びますか」となるようなレベルなのに。パリではよくあるんだろうか。
男性は、冷静に諭すように何かを言っているけど、女性は相変わらずギャーギャー叫んで、バシバシ殴っている。
どういう経緯かは知らないけど、僕だったら、こんなに情熱的な女性は、ちょっと遠慮したい。
けっこう長い間、その喧嘩が続いた後、なんとか女性の怒りは収まったようだ。
と、次の瞬間、なんとその場で抱き合って、ぶちゅぶちゅキスをしだした。
え、今まで、あんなに殴ってたのに?!
彼女の爆発的な怒りまでも、アンニュイに受け止めるのが、パリ流なんでしょうか?
僕はパリジャンにはなれそうにもない。(アンニュイの意味も知らないし)
こういう、観光客向けでは無い出し物を見れるのが、路地を歩く楽しみなのです。
NHKの「世界ふれあい街あるき」でも放送しまい。
結局、宿から30分ほど歩いて、オペラ・バスティーユに到着。
ここは、1989年に建った比較的新しい劇場だが、パリを代表する劇場である事は間違いない。
中に入りクロークの方にコートを差し出し 「しるぶぷれ」 と頼むと、丁寧に「Oui,Monsieur」と言われる。
うわ、「うぃ、むっしゅ」だって!
僕はいつから、ムッシュになったんだろうか? 良い気分だけど、ちょっとムズムズする。 さすが115ユーロ。
オペラ「フィガロの結婚」、ウィーンで観た「セビリアの理髪師」の続編。
前回、活躍して伯爵の結婚を実らせたフィガロ、今回は自身が結婚する、というタイトルまんまのお話。
さぁ、どうかな・・・と、緊張しつつ観ると、さすがにパリオペラ座。なんとも非の打ち所が無かった。なんというか、全く隙が無い。
役者は勿論、衣装、証明、オケ、舞台装置に至るまで、本当に見事だった。
やっぱり特筆すべきは役者で、どの方も最高に素晴らしく、終始、会場を笑いの渦に包んでいた。
ウィーンで観た「セビリアの理髪師」のように、おかしなしぐさや、変な声で笑わすのではなくて、ちゃんと芝居の内容でしっかり笑わすのが凄い。
実力のある人のやる、正統派の「フィガロの結婚」だった。もう、こうなるとお手上げ。これはちょっとやそっとじゃ、敵う気がしない。
お前ごときが、誰に挑もうとしてんだ、という感じだが、「あー参ったー」という印象だった。115ユーロの価値は十二分にある。
特にスザンナとフィガロの二人が、最高に素敵だった。スザンナは本当に可愛らしい女性で、台詞がそのまま唄になっているような、なんとも中身のある歌声だった。
フィガロも、とっても演技が自然で、キャラクターを見事に演じている。唄なんか最高に上手い、そして格好良い。もうお手上げ。何にも敵う気がしない。
舞台装置は、非常に奥行きを感じさせるセットになっていて(実際に奥行きが広いんだけど)、向って左側の窓から差し込む光が、とても綺麗に場面を照らしている。
そういえば、芝居を始めてすぐの頃に、僕はどうしても「窓から入る光」がやりたくて、随分と試行錯誤した事があったな。 全然うまく行かなかったけど。
「窓から入る光が、自然に室内を照らす」というのは、失敗すると、観るに耐えない。僕が経験したように。
その点、今回のこの舞台は、正面からの照明が、床に落ちている窓枠の影を一切消す事なく、過不足無く役者の顔を照らしていた。
素晴らしいです、はい。
やっぱり「パリオペラ座」は、すごかった。 劇場めぐりのクライマックスに相応しい、最高の舞台だった。
1786年にパリで初演されたオペラが、224年後に、同じパリで、同じ曲、同じ歌詞で、同じように観客を魅了して、大笑いさせているというのは、本当に凄い事だと思う。 上演中にちょっと想像したら、鳥肌が立ってしまった。
モーツァルトは、このオペラを作った時に、そんな事を想像しただろうか? これを観てどんな風に思うんだろうか。
最高の余韻を持って、地下鉄で宿まで帰る。ふと前の通りのベンチを見ると、くまさんがチョコンと座ってた。
でも、通りを行く人達は、特に興味がなさそうに横を通り過ぎて行く。
どうやら、夜、ぬいぐるみが散歩するのは普通らしい。
さすが、パリ。
- 2010.11.20お宅訪問~Day:63 Paris~
カテゴリー:19 : パリ 今まで、ずっと調子のおかしかったパソコンも、いよいよ駄目らしい。
日記を書く際は、ウィンドウズのメモ帳を使って、その後、「ワードプレス」というソフトで、写真やら動画やらを貼り付け、HPにしていたのだが、なんとメモ帳機能すら使えなくなってしまった。
パコパコとキーを叩いていると、突然、終了される。 もちろん、データは残ってない。
メモリを使用しないよう、全てのソフトを終了させた状態で、メモ帳のみ使っても、落ちる。
もう、どうしようも無い。
色々と、ごまかしごまかし使って来たが、ここらでちゃんとしてあげて方が良いのかも知れない。 パソコン君も疲労が溜まっているのだ。
ネットで対処法を調べ・・・と、なんと宿の無線LANが使えない。
電波は飛んでいるが、接続を拒否される。
受付に「ねー、使えないよ」と言うと「そうなのよ。たぶんすぐに直ると思うけど。」
と、ちょっと可愛らしい女の子が、カナリたどたどしい英語で言う。 逆なら良いのに。
もう僕もだいたい分かって来た。 この場合の「すぐに」は、我々の言う「すぐに」ではない、似て非なる言葉なのだ。
たぶん、そんなに簡単には直るまい。
仕方なしに、思いつく限りの方法で、パソコン君の機嫌を取る。
ま、長く旅をすればこんな事もあるんだろう。
あーでもない、こーでもない、とイジっている内に、お昼は過ぎ、夕方近くなる。
おっといけない。バレエの時間だ。
さて、いよいよ、パレ・ガルニエでの公演が観れる。
これまで、ほとんどの所で自分の写真なんか撮って来なかったけど、さすがにここは撮ってみた。
「独り旅、自分撮り」は結構恥ずかしいので、何食わぬ顔で、コソっと。
しかし、まぁ髪が伸び放題伸びてしまった。
多分、普通なら、ただの長めの髪で済むところを、僕の天然パーマのおかげで、外側へ放射状に広がってしまう。
ドライヤーでも持ってれば、なんとかなるのだけど、持ってるわけもなく、安宿にもそんなのは無い。
このままだと、脳科学の道に進まなくてはいけなくなってしまう。
そろそろ切らなきゃ。
そんな事を思いつつ、いよいよ中へ。
以前はドレスコードがあったらしいが、今は全く無いようだ。 相変わらず、デニム、スニーカーの人もいる。
ウィーン、ミラノ等、歴史ある劇場はみんなそうだったけど、これはまた群を抜いて絢爛豪華だ。
根本的に、劇場の社会的位置が、日本とは違う。
完全に、上流階級におわす、紳士淑女の社交場としての劇場だ。
パリは色々な作品の舞台となった街だけど、ここに来たらどうしたって「オペラ座の怪人」を思わずにはいられない。
ミュージカル「オペラ座の怪人」で、劇中、怪人が落す、ャンデリア。
こんなの落としちゃ駄目。
でも、シャンデリアの部品の落下事故は、過去、本当にあったそうだ。
「怪人の為に空けておかなくてはいけない、5番のボックス席」は2階の、舞台側から数えて3つ目のボックス席が、そうらしい。
もちろん、誰か座ってるけど。
やっぱりこの席は人気だったりするのかな?
原作、舞台では、「地底湖がある」という事になっているが、なんとこれは本当にあるのだとか。
湖というほどでは無いらしいが、地下の馬小屋を増築中に地下水が湧き出してしまい、汲んでも汲んでも水は減らなかったので、そのまま生簀にしてしまったらしい。
「今では小道具に使う魚を養殖している」と、書いてあった。
小道具に使う魚?何の演目のどんなシーンで生きた魚をそのまま使うのか、ぜひ知りたい。
さらに、屋上では養蜂が行われており、ミツバチさん達の巣があるそうだ。
パリの花の蜜を集めた蜂蜜はFauchon(フォション)のブランドで、「オペラ座の蜂蜜」として売られている。 お土産として大人気。
なんで、ミツバチを飼っているかと言うと、「小道具で使う蜂の巣箱を屋上に置いた所、蜂が繁殖した」のだとか。
「小道具で使う蜂を飼う為に、屋上に巣箱を置いた」のか、「小道具として『蜂の巣箱』を作ったので、置いてみた」のか、謎である。
生きた、本物の蜂を、小道具で使わないか。
意外に、飼いならされていて、言う事聞くのかな? 一匹一匹名前がついてたりして。
僕の席は、柱の影にある、腰掛のような席だった。
写真を撮ろうとしても、光が当たってないので、全然映らない。
が、角度がちょうど舞台を向いているので、端から端まで綺麗に見える。他の席(多分僕のより高い)の人でも、全然舞台が観えないので、立って観ている人もいた。
安い席の中でも、相当ラッキーな席のようだ。
なんと驚く事に、客席での飲食可らしい。みなさん、ワインやらシャンパンやら片手にご観劇。
よく観ると、安い席でも、グラスなどを置けるような小さな台がついている。
日本の劇場では、ちょっと考えられない。こぼしたら、大変だろうに。
と、僕より少し後方の、アメリカ人女性が、まんまと上演中にグラスを倒してた。
言わんこっちゃない。あれでよく、絨毯が染みだらけにならないよな。
だから、赤い絨毯なのかな?
昨日のオペラが最高に素晴らしかったので、このバレエもとっても期待したのだけど、あんまり良く無かった。
昨夜の「全く隙の無いオペラ」に比べ、隙だらけだ。
コールドは適当だし、ソリストがちっとも良くない。 ベルリンの方が、何倍も素晴らしかった。
演目は「パキータ」。
知らないお話だったので、調べて行った所、将軍の息子と、ジプシーの娘(パキータ)が恋に落ちるが、二人の間には身分の差がある。
が、パキータは、主人公暗殺の危機を救い、屋敷に招かれる。
屋敷に掲げられている肖像画を見ると、自分が生まれたときから身に着けているロケットの画と同じ。なんとパキータは、行方不明になった将軍の姪だった。
身分の差で悩む必要もなくなり、めでたく結ばれる二人。(従兄弟同士だけど)
まぁストーリーは別に良いとして、構成にだいぶ問題があると思う。
めでたく結ばれるのは、休憩終わりの3幕開始15分ほどの所。
後の45分くらい、延々と「結婚出来て良かったね」的なダンスが続く。
他の演目でも、めでたく結ばれた後に、こんな感じで踊るけど、これはいくらなんでも長すぎると思う。
正直「良かったねー」「良かったよー」としか見えず、それ以上、何かを表現したいのか、それだけなのか。
そりゃ技術は素晴らしいけど、それだけを見せられても「すごい」以上の感想は出てこない。
そういう意図なら良いんだけど。
1人、序盤で女性2人と踊るソリストの男性がいたが、彼が一番凄かった。思わず、なんでこの人を主役にしないのかな、と思ってしまった。
やっぱり、マチュー・ガニオさんとか観たいな。チケット取れないだろうけど。
ま、そんなこんなで、オペラ座ガルニエ観劇は少し残念な結果に終わった。
まぁ、15ユーロで内部を観れて、観劇体験が出来たという事で良しとしよう。
とりあえず、パソコンと髪をなんとかしなきゃ。
- 2010.11.20オカマの美容師と、エッフェル塔~Day:64 Paris~
カテゴリー:19 : パリ 起きる直前に「頭の左側だけハゲる夢」をみた。 まったく縁起でもない。 早く髪を切れという事なのかな。
ベッドを抜け出し、窓から外を見ると、若干の雲はあるものの、どうやらお天気のようだ。
色々な人から「パリは雨続きだよ」と言われていて、案の定、着いてからは、青い空を見れて無かったのだが、今日はこのまま晴れそうだ。
夕べ、寝る前に、パソコンのウィルスフルスキャンを開始しておいたが、起きて見てみると、2%の時点で止まってる。もう、いっその事、「窓から、ぽい」、としたくなるが、とりあえず晴れた事だし、こんなのほって置いて、パリの街に出よう。
アチコチの美術館や観光施設が入場し放題になる「ミュージアムパス」なるものを買おうとしたが、とりあえず今日は、アチコチを外からダイジェスト的に見て回る事にしよう。
そして良さそうな美容室があれば、髪も切ってしまおう。 よし、そうしよう。
まずは、地下鉄で「ノートルダム大聖堂」へ。
昨夜のガルニエ宮が「オペラ座の怪人」ならば、こちらはディズニーアニメ「ノートルダムの鐘」を連想させる。
この大聖堂の中で、醜い外見を世間にさらさないよう、ひっそりと暮らしている男のお話し。DVDも出ているので、ぜひ一度ご覧下さい。
セーヌ河の沿って建つ、美しく大きな聖堂。これは何かのお話しが生まれて当たり前。
ベルリンくらいからだろうか、色々なインプットを僕の身体に入れすぎたせいか、唄いたくてしょうがなくなって来た。
最初は自重してたけど、とうとう最近では、遠慮なしに街中で唄っている。
実際に唄ってみると、よっぽど大きな声を張り上げない限り、誰も気にしない。 良く考えたら、唄いながら歩いている人なんて、そこら中にいるのだ。
なので、ここでは「ノートルダムの鐘」の主人公、カジモドの唄「Out There」を張り切って唄わせて頂きました。 例によって歌詞適当。
上手かろうが、下手だろうが、誰にも気にしない。実に良い、唄なんてそんなもんさ。
そのままルーブルの前を通り、オベリスクのある広場へ。
ここで女性に、すごく強引に腕を捕まれたので何かと思ったら、署名活動だった。
え、署名活動ってそんなん? どんな運動だよ、まったく。
この辺で、良さそうな美容室を見つけたのだけど、世界各地に支店があるような店で、なんと東京にもあるそうなので、やめる。
せっかくならね。
そのまま、シャンゼリゼ通りを通って、凱旋門へ向おう。
出ました「ルイヴィトン:シャンゼリゼ通り本店」入場料取られるんじゃないだろうか、というくらいの佇まい。
ありがたい事に興味ないので、素通り。
大変申し訳ないのだけど、あの「LV」のモノグラムデザインが、どう頑張っても好きになれない。
あれに合う服ってどんなのだろう? 見た事無いんだけど。
凱旋門。ナポレオンの戦勝を記念して作らせたが、彼がこの門を潜ったのはパリに改葬された時。
建築物に限らず、ヨーロッパの至る所で、何かと彼の名前を目にする。
彼の足跡を辿る旅なんてもの面白そうだ。
エジプトにも、コルシカ島にも行けるしね。
一説には「ロンギヌスの槍」を持っていたとか。
まぁ、あくまでも噂だろうけど。
凱旋門から、エッフェル塔へ向う。どの道を行けばいいのかな、と地図を見ようとして止めた。
パリのあちこちから、エッフェル塔の頭は良く見える。あれを目指して歩いてれば着くだろう。
ノートルダム大聖堂から歩き続けているので、さすがにお腹が空いた。
パリも、物価がかなり高い。ちょっと簡単にはレストランに入れない。
貧乏旅行のくせに物価の高いところばっかり行ってるよな僕は。
まぁ劇場を目指すと、どうしてもそうなっちゃうんだけど。
なので、味覚的にも、お値段的にもありがたい、中華料理のお世話になる。
中国人は世界中の至る所にいて、現地語を華麗に使いこなしつつ、中華料理屋さんをやっている。
今回の旅で思ったが、どこにいても、まったく気後れする事なく、生活しているように見える。その点は、本当に尊敬する。
お天気のせいか、エッフェル塔に昇るエレベーターには、長蛇の列が出来ていた。
いくらか確認しなかったけど、昇らず。 そんなに惹かれなかったし、パリなんて大都市には、またいくらでも来る機会があるでしょう。
エッフェル塔より、その近くにあった、この並木道の方が良さそうだった。
ベンチで本を読んでいる人、犬の散歩をしている人、ランニングしてる人、様々。
こういう所で、ぼんやりしたい。
と、ここで、なんとなく良さそうな美容室を発見。
向かいにも、もう一軒あったけど、こっちはおばさんばっかりだった。
もう他を探すのも面倒くさいので、ここで切ってしまおう。
中に入り、フランス語で挨拶した後、申し訳無さそうに英語を使わせて頂く。
受付には白人と黒人の中年女性、店内には男性の美容師さんが4人ほど。
美容師さんは皆、おそろいの真っ白な服を着ていて、これが、ピタっとしていて身体のラインが良く出るので、ちょっと女性的に見える。
少しくらい待つかと思いきや、予約も無しにすぐに切って頂けるようだ。
ちょっと女性的に見えた男性美容師さん、どうやら内2人は確実にゲイっぽい。
最初に髪を洗ってくれた男性なんて、もうしぐさが完全に女性だった。
柔らかな物腰、おしとやかな手つき、そして少し高めの声で、滑らかなフランス語。
いやはや、なんとも、なんとも。
僕の髪を切ってくれたのは、The Yellow Monkeyの元ボーカル、吉井和哉さんが少しアッサリしたような雰囲気の方。
「ベリーショートにする?」と聞かれるので、「全部、お任せします」と答える。
まさか、モヒカンとかドレッドにはなるまい。まぁ、それでも良いけど。
いつも思ってたけど、日本の美容室はサービスの方向性を完全に失ってると思う。
いちいち「お湯加減は?」「首苦しくないですか?」とか聞かなくても良いと思うんだけどな。
その点、さすが外国。一番最初にコーヒーが出てきた以外は、実にざっくばらん。
こんなんで良いと思う。ちゃんと髪さえ切ってくれれば。
と、ここで、オカマ度200%の男性マネージャーが、「ぼぉんじゅーる、むっしゅうぅ?こんさばぁー?」と柱に抱きつきながら登場。
こりゃもう凄い。デニムに、これまた身体にピタっとついた黒いシャツを着ていて、ヒゲの剃り跡がやたら青々しい。
もう、この方の動作と喋り方が、コントに出てくるオカマキャラ以外の何物でもなく、正直笑いをこらえるのに必死だった。
歩くときは、両手を軽く握り、手のひら側を前に向け、胸の前に構える。
そして、内股でチョコチョコ歩く。
常連の中年女性客が来た時なんか「きゃーお久しぶりぃ!!」と、抱きつかんばかりに喜ぶ。
いやーもう、どうしたもんか。
そんな僕をよそに、吉井さんはすごくサクサク、思い切り良く切って行く。
あんまりに早いので、ちょっと途中不安になったけど、出来上がったのはこんな感じ。
パッと見「ワカメちゃんみたいだな」と思ったけど、意外に普通だった。
当たり前か。
最後にブローしている時に、「貴方の髪の毛はとっても素敵だわん」とナデナデされ、「おい、お前もかい」とツッコミそうになった。(この時に「Brilliant」という単語を使うあたりが、また)
全部ひっくるめて47ユーロ。もっとするかと思った、良かった良かった。
日本と同じく、切る前にお客様カルテみたいな物を書かされたけど「お誕生月なので安くなります」とか案内が届くのだろうか? 楽しみに待ってみよう。
地下鉄の駅を探し、河を渡ると「Palais de Chaillot」という所に着いた。
この建物は良く分からなかったけど、ここから見るエッフェル塔はとても画になる。
近くで見るより、お勧めです。
と、この近くで、いわゆる「テキヤさん」(でいいのかな?)を発見。
何をしているかと言うと、丸い3枚のコースターのうち、1枚だけ裏の白いのがありそれをおじさんが、ひっくり返したり入れ替えたりした後、「さぁ白いのはどれだ?当ててみな!」と言う。
見事当てると、賭けたお金の倍貰えるという、一種の賭け事だ。
日本にもこれに似たようなのが昔あったらしく、以前、阿佐田哲也さんの小説(だったと思う)で読んだ事がある。
周りで見ているお客さんの中にサクラがいて、見事当てて、お金を増やしているのは、実はおじさんの仲間なのだ。
で、見ていた観光客をその気にさせ、実際にかけさせる時には、巧みに入れ替えて正解を分からなくして、お金を持ってっちゃう、という。
サクラは簡単に当て(この時は簡単な入れ替えしかしない)バンバンお金を増やしていく。
観光客にかけさせる時は、手品で言うセカンドディールや、フェイクカットのような技術で、うまく入れ替える。
こんなんに引っかからないだろうと、思いきや、観光客は簡単に100ユーロくらい負けて行く。
うまい事やるもんだ。
今、日本でこんなのやったら、すぐにおまわりさんが飛んで来るんだろうな。
もちろん、僕はやらない。 こんなんで、50ユーロもスった日には、あーた。
そんなこんなで、日が暮れていく。
もう一度ちゃんと観たいな、という所もなかったので、観光はこんな所で、いいかな。
でも、美術館を観て、パリは終わりでは、ちょっと物足りない。
やっぱり、昨夜のバレエでオペラ座観劇が終わりではな、という気がする。
よし、帰って当日券の入手方法を調べよう。
おっと、パソコンもネットも調子悪いんだった。
帰ってたらどちらも見事に直ってるなんて事は・・・当然無い。
パソコンはともかく、ネットがいつまでも繋がらないのには、さすがに困るので、受付の青年に文句を言いに行く。
「昨日からずっとネット繋がらないよ」
『知っている』
「いつ直るんだ?」
『分からない。10分後かもしれないし、明日かもしれないし』
「誰か直してるんだろうね?」
『I hope so.(そう願うよ)』
あいほーぷそー? こりゃ駄目だ。もう、いい加減に宿を変えるか?
外を見ると、すっかり暗くなった街に、またもや雨が降り出した。
髪を切った直後は、寒くてしょうがない。 もう、面倒くさいからここでいいや。




















